イギリスのハウジング・アソシエーションの現況
堀田 祐三子(神戸大学大学院)
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ハウジング・アソシエーションとは?
非営利の住宅供給組織。一般に低所得者や高齢者など社会的に不利な状況にある人々に住宅や住宅関連サービスを供給。
HCに登録しているHA〜2000ほど
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イギリス住宅政策とハウジング・アソシエーションの発展
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第1時発展期 19世紀半ば〜末
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第2時発展期 1960年代半ば〜70年代初め
HA設立や活動を奨励する施策。具体的には、実験的にHA設立、既存住宅改善事業へのHAの参入認可、改善事業への国庫融資の拡大など。
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第3時発展期 1974年〜1970年代末
Housing
Association Grant補助金制度、公共セクターの一種として扱われる
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第4時発展期 1988年以降〜1990年代半ば
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購入権政策の伸び悩み→個人に売りつけられない住宅をHAという組織へ売却するよう方向転換
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HAは社会住宅の主要な供給主体に位置づけ
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公営住宅をHAに移管させるための仕組み(公営住宅大規模自主移管)の整備
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HAは公営住宅の代替役
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公営住宅移管事業
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公営住宅移管事業の変化
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都市部での実施、地域住宅会社の出現、部分的移管の増加
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団地再生チャレンジファンド
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地域住宅会社〜民間非営利組織の一種であり、公営住宅移管の受け皿という目的で設立された組織。HAとは、組織形態が多少異なるが、ほぼ同じような活動をしている。最高意思決定機関である理事会の構成が、地方自治体関係者1/3、居住者代表1/3、専門家などの第3者1/3。
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HAのアカウンタビリティを向上させ、公営住宅移管にふさわしい組織に
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公営住宅移管事業の展開
移管戸数;65万戸(2002年3月まで)
実施件数;178件(後半の約5年のほうが圧倒的に多い)
HA設立;172
移管に失敗した自治体数;49件
HAセクター;全住宅ストックの6.6%、約140万戸を所有
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移管後の評価
住宅および住宅サービスは改善されてきている
居住者の満足度も高くなっている
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トランスファーHAの活動パターンの変化
移管時に約束した住宅改善当などが完了すると、他の地域でも活動を開始
活動も多様化
グループストラクチャーを形成する傾向
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HAセクターの変化
組織の規模格差の拡大〜81%が500戸以上を所有するHAによって所有・管理。
新規開発の大規模HAへの集中、補助金が配分されたHAの数の減少
活動監督の厳格化
監査委員会(Audit Commission)による監督
グループストラクチャーの増加
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まとめ
セクターの成長
セクターの階層化
小規模HAの淘汰
HAのオリジナルな特性喪失の危機?
コミュニティ・ベースや「消費者中心」主義の強調