都市環境紛争の実情

                                                        2004.2.23

                         日置雅晴

 

 日本の都市紛争を被害者側から見て,現在の制度の問題点を考える

 

1 地下室マンション 規制緩和政策が誘導した建築

      いつまでも放置される奇妙な建築

   ようやく横浜市は条例で規制に

    第1種低層住居専用地域に7層は問題ない 裁判所の感覚

 

2 規制をくぐり抜ける

   道路斜線の潜脱

   日影規制の潜脱

   用地規制の潜脱

  実質的な規制の潜脱が建築基準法上は合法となる

    税法ではこの手の抜け穴は次々とふさがれるのが通例であるが・・・・・

 

3 環境が確保できなくても居住することは認められている

  商業地域のマンション 日照の保証は全くない

  居住を認める以上,一定の環境確保は必要ではないか  

 

4 戸建ての隣に超高層が建つことが許容されていいのか

  世田谷区などは全面的な高さ規制へ

   低層住居専用地域以外は原則高さ規制なしという容積制度は妥当だったのか

     

5 行政の一貫性はどこに

   長年の地元と行政のまちづくりの努力を無にする公共用地の提供

 

6 守られた軽井沢の景観

   20年前となんら変わらぬ市民運動だよりのシステム

 

7 都市環境と裁判制度

 

  実際には係争の道は極めて狭い

   時間との勝負・・・わかったときにはもう遅い

   建ってしまえばそれまで・・・行政訴訟の訴えの利益論

   個人を守らないで公益が守れるのか・・・行政訴訟の原告適格論   

   中身に入っても,実質的な規制の潜脱を民事上違法な行為として対応できるか

  *法理論的には,公法規制の適否と民事上の違法性はイコールではない。

   しかし実際には,公法規制をクリア=民事上も適法となりがち

  *そもそも裁判官は建築基準法をよく分からない人が多い

   「私は建築が全く分かりませんので・・・・」と宣言する裁判官も