住宅都市国際協力研究会議事録
日時:2003年10月25日(金)19:00〜21:00
テーマ:参加型スラム改善プロジェクト−フィリピンナガ市の取り組み−
報告者:吉村輝彦氏(国際連合地域開発センター研究員)
場所:新宿アイランドタワー19階 都市公団東京支社1902会議室
出席者:海老塚 良吉、新田目 夏実、坂田 泉、川添 雅子、河合由美子、森川 真樹、田中晶子、瀬田 史彦、岡田政幸、松岡 豊三、徳永 達己、岩崎麻美、藤井 雅、大橋隆史、小田川華子、竹内 航、山本はづき、栗原英治、塩月 えり、福木 聡、根本 暁、斉上伸一、小沼 一博、西村 恵美子、石川永子(26名)
T報告
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UNCRDは、環境(環境に優しい交通、持続可能な生産及び消費など)と人間の安全保障(地方政府、情報との関係)の2本柱で研究と研修を行っている。
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ナガ市の取り組みについてレジメにより報告
U質疑応答
Q.ナガ市は、Cyber City賞を受賞したとあるが、フィリピンでは一般世帯にパソコンが普及していないので、インターネットでの情報は実際には有効に利用されていないのではないか?
A.確かに一般家庭にインターネットが普及しているとは言えないが、情報公開は役所だけが情報を独占しないで一般市民にも提供していくというスタンスが重要である。
Q.都市貧困層との対話、NGOとの対話が制度的に担保されているとあるが、具体的にどのようなことをしているのか?
A.NGO、行政は月に一回ミーティングを開催。対話は、Informalで日常的に行う場合とFormalに行う場合がある。
Q.1988年には、都市貧困層が約25%に達したとあるが、現在はどのようになっているのか?取り組みの結果、貧困層が減少したとの数値データはあるのか。
A.2000年に全国家計調査が行われたので、情報はそこから得られるであろうが、つかんでいない。
Q.参加型開発について、貧困層には参加・不参加のチョイスが2つあると思うが、不参加の人はより社会から阻害されてしまうのではないか?
A.不参加にもレベルがあると思う。経済的理由で参加出来ない人よりも、例えば社会的・政治的といった他の理由で参加しない人々に焦点を当てる必要があると思う。制度をしっかりすることが必要であろう。スモーキーマウンテンでは、政治的な理由でプロジェクトに参加しない人々がいた。プロジェクトに不参加な住民団体がいたため、道路を通す事が出来なかった。このように、不参加が積極的な意味で障害になることもある。70年代、スラムの解決策と言えば強制撤去であり、政府とNGOの関係はHostileであった。しかし、その後、HostileからTrust
& Respectという関係になったことは良いと思う。(新田目氏)
Q.ロブレド市長のバックグランドについて
A.連続3期(1988−1988)の後、ハーバード大学にて修士号を取得し、現在再び市長(2001-)に就任している。エンジニア出身。
Q.スラム改善プロジェクトは、ナガ市だから成功したのか?他の地域での成功は難しいのか?
A.プロジェクト成功は、市長のリーダーシップに寄与しているところが大きいといえるだろう。セブ島やマリキナ市においても市長のリーダーシップが発揮されプロジェクトは成功している。ロブレド市長は、旧来型の地主層だけと対話をするのではなく、貧困層とも対話をし、枠組みを拡大した。これも、成功の秘訣といえるだろう。フィリピンでは、市長の連続4選が禁止されているため、前市長の家族が市長に就任するケースがある。今後、このような逆の弊害も考慮に入れる必要があるだろう。
Q.市長のリーダーシップが成功の秘訣であるならば、一般化するのは難しいのではないか?
A.ロブレド市長が行った政策が他の地域にも応用できる。その中でも特に、Cost Recoveryは重要。回収がうまくいかない時の為のSelf-help
Community Mortgageを適用するのも良い。(海老塚氏)
Q.UNCRDでBest Practiceを集めて、Knowledge Managementは行っているのか?
A.UNDP、UN Habitat、UNCRDでもBest Practiceは持っているが、特にKnowledge
Managementは行っていない。等
(文責:川添 雅子)