住宅都市国際協力研究会議事録
日時:2003年10月6日(月)19:00〜21:00
テーマ:タイ、アユタヤにおけるコミュニティネットワーク活動とCODIの役割
報告者:佐々木康彦氏(東洋大学国際地域学部修士卒)、藤井敏信氏(東洋大学国際地域学部教授)
場所:新宿アイランドタワー17階 都市公団土地有効利用本部小会議室
出席者(敬称略):海老塚、松村、森下、山本耕司、坂田、河合、田多、山本はづき、塩月、兎内、富原、望月、徳永、青山、畠中、北村、新田目、一宮、瀬田、川添(計22名)
T報告
佐々木氏よりパワーポイントを用いて40分あまりで報告。藤井氏より下記の補足説明。
ソムッソク女史がCODIの所長になり、スラムの解消を掲げたタキシン首相と会見する等、農村部を含めて3万のコミュニティを対象に精力的に活動している。タイ住宅公団(NHA)は個人の住宅を対象としCODIはコミュニティを対象に業務を展開。かつてはCODIの職員は官僚的との批判もあったが、直接の対応はネットワークにゆだね、ボードが上手く機能している。10種類のクレジットを住宅と生活支援の2区分にすることを検討中。
U質疑応答
Q. Bottom-up型とはいうものの、実際のまちづくりは専門家や非営利組織が重要な役割を果たしていて、彼らの役割をきちんと把握する必要があるのではないか?
A.セービンググループで話し合いが行われる際、CODIから専門家が派遣され話し合いをまとめる場合もあり、専門家の役割は大きいが、地域住民の意見もまちづくりに活かされている。地域の居住者が積極的な場合は、まちづくりが上手くいくといえる。アーカンソンクロ・コミュニティでは居住者の強いリーダーシップがあったため、政府も支援をするようになった。ナコンサワーンでは、行政・CODI・NHAが53のインフォーマル・コミュニティのリーダーを集め、まちづくりの趣旨を説明し活動しようとしたが、失敗。地域住民に十分な理解が得られなかったためと考えられる。
Q.居住者の何パーセントぐらいがセービンググループに参加しているのか?
A.場所によって異なる。アーカンソンクロ・コミュニティではほぼ全員が参加している。2割ぐらいしか参加していないところもある。インフラ整備のように居住者全員が受益するような場合は、セービンググループに属していない居住者も負担金をあるていど支出しているようである。
Q.貯蓄をできるのは少し上の層で、最貧困層に融資することは可能か?
A.返済出来ない恐れがあるので、やはり底辺より少し上の所得の人までが融資の対象となっているといえる。
Q.セービンググループが成功するところと失敗するところの違いは何か?
A.アーカンソンクロ・コミュニティを例に挙げると、コミュニティ基盤がしっかりしており、強力なリーダーシップがあったため、成功したといえる。上手くいかなくなったグループもある。
Q.委員会の委員長、副委員長はどのように決まるのか?
A.メンバーの選挙により決定される。現在は、大学教授。その前は、アーカンソンクロコミュニティのリーダー(職業は、タクシーの運転手)。
Q.セービンググループに参加する上で、所得制限等の条件はあるのか?
A.条件は、かなり曖昧である。口コミや地縁性でメンバーを集めている。
Q.ネットワークに参加することで、同様な問題を抱えるコミュニティが集まり、問題のテーマを共有化することで、成功した事例とは、具体的にどのようなことか?
A.ワットピチャイコミュニティ(お寺のそば)では強制立ち退きの問題があった。コミュニティの人々は、その地域が利便性に富んでいたため、住み続けたいと要望。ネットワークがお寺の人と交渉することで、この問題は解決した。
Q.プロジェクト別にワーキンググループが設立されることについて
A.住宅改善、道路の整備、コミュニティショップ等のプロジェクトが融資対象となり、ワーキンググループが結成される。どうしたらSIFの融資をうけることができるのかの勉強会も行われている。
Q.融資の条件等について
A.連帯責任あり、土地/住宅の担保も取られる。年利は銀行並みの10〜15%、返済期間は5〜10年。等
(文責:川添 雅子)