勇士たちの星

 幸村の星を中心に周りを取り巻く勇士たちの星…その光景は劇中幾度となく見られました。
 真田の勇士たちを、烏合の衆ではなく、星の運命(さだめ)により結ばれた同志としたところ、前作の人形劇『新八犬伝』の八つの珠の縁により結ばれた八犬士という設定を意識しているのかなという感はありましたが、仁義礼智忠信孝悌の八文字を八犬士それぞれに充てているのと同様に、『真田十勇士』でも実在の天体を勇士それぞれの性格になぞらえていました。
  太 陽 ・・・ 真田幸村
  水 星 ・・・ 猿飛佐助
  金 星 ・・・ 真田大助
  地 球 ・・・ 穴山小助
   月  ・・・ 由利鎌之助
  火 星 ・・・ 三好清海
  木 星 ・・・ 筧 十蔵
  土 星 ・・・ 為三
  天王星 ・・・ 呉羽自然坊
  海王星 ・・・ 高野小天狗
  冥王星 ・・・ 霧隱才蔵
 ただ、この比定は原作者の柴田錬三郎さんが勇士たちの運命と性格の象徴として結び付けられたもので、実際これらの星が夜空に円形を成すことはもちろんなく、劇中でこうした星の名が台詞にのぼることはありませんでした。
 ちなみに、それぞれの星と勇士の性格について、時々番組の終わりに柴田錬三郎さんご自身が解説していらっしゃいましたが(あまり覚えていないのですけど)、ある日、「穴山小助の星は地球だそうだけど、地球が空にあるはずないし、どうして?」というような視聴者からの質問お便りが紹介され、それに対して「十勇士の星は心の星として考えてほしい」というような答えがあったことを、何となく記憶しています。

 さて、わたしの好きな霧隱才蔵の星は冥王星です。太陽から最も遠く、冥界の王プルトーンの名を戴いたこの星は、遠い異国から来た冷徹な戦士・霧隱才蔵に通ずるものがあるのでしょう。冥王星といえば、今年(2006年)の八月、国際天文学会が冥王星を太陽系惑星から除外することを決議したというニュースが記憶に新しいですね。この時、冥王星と聞いてすぐさま才蔵を連想したあたり、我ながらけっこうな『十勇士』熱だなと笑ったものです。

 ところで、物語のなかで、十勇士にカウントされないとはいえ、真田の仲間に混じって彼らと同等の働きをした夢影の星もありました。佐助の星に寄り添う真紅の星でしたが、この星を、十勇士のように実在の星になぞらえるとしたら、何の星になるでしょうね。

(2006.11.25)

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