終わりよければ…

 「終わりよければすべてよし」とは、シェイクスピアの作品タイトルでしたか。
 それとは意味が違うけど、全巻の終わりではなくとも、テレビ番組の各回の終わりを告げるエンディングは、見終わった後の余韻を印象付ける大切な役割があると思うのです。

 『新八犬伝』のエンディング曲「夕焼けの空」と「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の2曲が比類なき名曲だったことは、その番組を見ていた人たちには説明するまでもないでしょうが、その回がどんな終わり方をしても、スムーズにいつもの歌の調べに乗せられて、その日の残像と次なる期待を心に残すことができたのは、バックの映像と歌の持つ不思議な魔力と言えましょうか。

 『真田十勇士』のエンディング曲も2曲ありました。「真田十勇士の歌」と「猿飛佐助の歌」で、どちらも作詞は原作者の柴田錬三郎さん、作曲は柳沢剛さんです。

 実は、この2曲、それぞれ2種類のバージョンがあったのを覚えていますか。
 「真田十勇士の歌」の方は、村田英雄が唄うものと、東京放送児童合唱団のみが唄うもの。前者は力強い男性的なイメージを押し出しており、後者はクリアなイメージで流して途中をソプラノのソロが少し哀しげに歌い上げています。
 「猿飛佐助の歌」の方は、歌い手は同じ松山省二さん(佐助役の声優さんですね)ですが、スローなテンポでしみじみと唄ったものと、太鼓と笛の伴奏も加わり軽快なテンポで楽しげに唄ったものとがありました。同じ歌で異なるアレンジをして、しかも、どちらも歌詞と違和感がないのは見事だと思います。(ところで、レコードはわたしは持っていないのですが、収録されているのはどちらでしょうか?)

 結局4種類のエンディング曲があったわけですが、それぞれどのように使い分けていたのでしょうか。その回の内容から雰囲気を壊さないように選べればいいのですが、なにぶん残余時間と曲の長さの兼ね合いがありますから、なかなかそうもいかないでしょうね。
 放送された回数は、「真田十勇士の歌」の東京放送児童合唱団バージョンが最も多かったでしょうか。その次は、同曲の村田英雄バージョン。「猿飛佐助の歌」は、「真田十勇士の歌」より先に発表されたと記憶していますが、最初の頃はよく使われたけど、しだいに滅多に使われなくなった気がします。それもスローテンポのバージョンは特に。

 ただ、一度、その回のエピソードに合わせて余韻を壊さないように選曲したのでは、と思わせた時がありました。
 巨鷲マンダラが死んだ回です。(→「目は涙」参照)その回は、瀕死のマンダラを見守る才蔵の姿で始まり、マンダラの死を経て、江戸城に乗り込み敵に囲まれ、佐助の助けの呼びかけもつっぱねる才蔵の絶体絶命の場面で終わりました。
 エンディングの歌は、静かな短い前奏で始まりました。画面には、マンダラが飛んでいる姿。それから、薄暗い道端だったか、佐助がひとり思案げにぶらついている光景に替わり、その後は、再びマンダラが出るのですが、今度は才蔵を乗せて飛び続ける姿で、ラストはしだいに遠ざかっていきました。
 その時は、もう二度とマンダラが飛ぶ姿は見られないと思っていましたから(後でそっくりな巨鷲ゴンドラが登場するんですけどね)、ラストの光景と佐助の物憂げな歌に、いっそう悲哀をかき立てられたことを今も覚えているのです。

(2007.1.13)

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■ この記事の読者のコメント ■

投稿日付: 2007年 1月 21日
名  前: みわ(管理人)
先日のチャットで耳寄りな情報をいただきました。
『懐かしの人形劇テーマ大全』というCDに「真田十勇士のテーマ」(オープニング曲)と、エンディングの「真田十勇士の歌」「猿飛佐助の歌」が収録されています。
そして「猿飛佐助の歌」はスローバージョンの方です。
ああ…残っていてよかった。


投稿日付: 2008年 6月 19日
名  前: 柴田 乱三郎
はじめまして… こうゆうサイトがあったんですね。
うれしいです。 私はこの番組に熱中して歴史にはまり一時は歴史家になろうと思ったくらいです。

さて、本題ですが、テーマ曲「真田十勇士の歌」は当初数ヶ月はインストで放映されていて、途中で村田さんのボーカル入りの曲に変わりました。
インストが気に入っていただけに村田さんの演歌調になったときはズッコケました。
以来インストヴァージョンが放映されることはありませんでした。


投稿日付: 2008年 6月 23日
名  前: みわ(管理人)
はじめまして! 柴田 乱三郎 さん。

そうですか〜インストで放映されていたとは、気がつきませんでした。
わたしも演歌調のテーマ曲を初めて聴いたときは、え〜?!と思ったものです。
インストの方がいいような…(まあ、個人の好みですが。)

情報ありがとうございました!


(コメント受付は締め切りました。)

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