0 愚者
フールは、私たちの旅が始まる前の状態。
最初のカードでありながら、私たちにとって、一番難しいことを突きつけている、
というか、真理を示しているというか・・・とにかく、自分自身や世界を知り、
成長するための旅を始める前の状態でありながら、既にここに答えがある、という
感じがします。
フールのカードには、のーてんきな若者が描かれています。どの位、のーてんき
かというと、まず、彼は、目の前の崖に一歩踏み出そうとしています。陽気で
かる〜い足取りで、上を向いて歩いているため、崖に気付かない、とも言えますが、
そもそも彼は、崖がどんなものなのか、その先に踏み出したらどうなるのか、を
知らないのです。
崖の他にも、犬や花、旅の荷物、山々や太陽など、このカードには、色々なもの
が描かれています。もちろん、一つ一つに意味があるのですが、何より、このカードが
言いたいのは、そこに全てがある、ということなのではないかと思うのです。
そして、その全てに彼は気付いていません。また、自分を含め、全てのものに
対する概念が彼の中にはありません。彼にとっては、何もないも同然なのです。
つまり、このカードは、「全てがある」ことを表すと同時に、「何もない」こと
をも表しているのではないでしょうか。まぁ、「全てがある」と「何もない」は
同じことだと私は思いますが。
また、概念(ものの名前と言ってもいいかもしれません)という枠のない彼は、
とても自由で楽しげです。彼にとってはきっと、目に映るすべてがいつでも新しいん
でしょうね。そういう意味で見ると、これから、色々なものを知っていく喜びや
楽しさも表しているのかもしれません。
そして、あえて逆に見るならば、概念のない彼は、実は、この世界を十分楽しんで
いるとは言えないのかもしれない、とも思うのです。自分自身やものの名前、この
世の仕組みと言った枠を知りながら、それらを知らない時のような気持ちで生きる
ことができたなら、もしかすると、世界をもっともっと楽しめるのではない
でしょうか。
言い換えれば、知っているものの中にも、知らないものを見つけられるなら、
そこに新たな楽しみや成長の原動力が生まれるのではないか、と思うのです。
「分かった」と思ったとしたら、その時点で、成長も動きも止まってしまう気が
します。だから、このカードは、自分は何も知らなかったんだ、と気付くことで、
成長への一歩を踏み出すというカードでもあると思うのです。
若者が踏み出している崖は、その先に何があるのか、何が起こるのかは
行ってみなければ、誰にも分からない、ということを表しているのかもしれません。
「0」という数は、「何もない」という状態を表す数ですよね。同時に、この形は、
この宇宙を表していると言います。「何もない空間、状態」を敢えて形にしてみたら、
一番フィットするのが円だったのかもしれません。
また、円は、その外と内を隔てる境界線を表していますよね。何もないところに
境界線があるっていうのもおもしろいなぁと思っちゃいます。
この数字は、正と負の数を対照的に並べるために生みだされたと聞きました。
・・・・・・ −3 −2 −1 0 1 2 3 ・・・・・・
こうやって並べてみると、なんだか、中心にある0から、正と負の数が左右に
流れ出しているように見えますね。
(-.・)v〜 ぴゅるぴゅる 〜v(・.-)
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全てあるのに何もない
おいおい全然わかんねーよ
と、思ったあなた
そうなんです
分かったようで分からない
その感じが ふ〜る
今まで 何年か十何年か何十年か生きてきて
色んなことを知ったはず
けれど、まだまだ なぁんにも
私たちは分かってない
というより たぶん きっと
ずっと別の方向を見ていたんじゃないかな