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第111号

2011年02月07日

【編集あとがき】

  第111号を、2011年02月07日、無事発行することができました。

以下、一読者としての感想を述べさせていただきました。

 浅田さんの論文=確かに、民主党政権への不満は高まりつつあると感じます。政府の実情に関する情報が充分ではないままに作成したマニフェストが、政権の座に座ってみると、財政不足の前に立ち往生している感じです。官僚組織も、八百長相撲の相撲協会と同じで自浄作用が働くとは期待できそうにありません。民主党には、官僚組織の「知らむべからず、依らしむべし」の姿勢を脱却することに真剣に取り組むことを期待しています。財政状況を分かりやすく、アメリカ国債の残高などを含むバランスシートを公開し、大方の国民の理解を求めるべきだと感じます。消費税引き上げも、なにが本当の状況なのか明確にしないまま、膨大な借金が累積していますと脅迫的な文言を並べるだけで実施しようとする姿勢には不信感が高まるばかりではないでしょうか。欠陥の多い既得権を打破するためには、現状の本当の姿を公開することが、民主主義の政治の根幹だと思います。民主党と自民党の勝ち負けのみに拘ったゲームに終始し、日本の社会や世界との関係の在り方をどのようにするのが適当なのかという議論がほとんど深まらないことに危機感を感じます。中国や朝鮮半島との関係については、全てをゲーム的視点から見るのではなく、歴史文化的側面も踏まえた幅広い視点から、人間観や価値観のレベルに遡った人間同志としてのコンセンサスを構築する努力を期待したいと感じます。

 薗部さんの論文=現代芸術といった分野や西欧芸術に並び立とうとした日本の芸術の分野においては、ゲーム感覚が先行せざるをえなかったようにも感じます。受けを狙って人気をはくしたり、奇をてらい評判になったりすることが、ゲームに勝つことであり、それが芸術としての一つの価値として受け入れられた傾向があったのではないでしょうか。ゲーム感覚が蔓延する社会の中にあっては、それも必然のことに感じられます。本当の美意識には、人々を結びつける働きがあると思いますが、そうした鮮やかな勝ちっぷりとか、奇想天外な妙手のようなものは、人々を惹きつけても、親しみ、安らぎ、落ち着きなどによって人々のつながりを感じさせるような美意識はないのかもしれません。作家が本当に人間としての沈潜した中から納得して提示しているものには、美意識が必然的に込められるのだと思います。ある意味でそうしたものは、ゲームという競争の世界から一歩退いた老齢期に入ってからの方が獲得しやすいのではないかなどとも感じますが、思考力の陰りなども伴いますし、それぞれに独自の工夫が必要なところなのかもしれません。

(以上 記 深瀬)

「負けること勝つこと(67)」 浅田 和幸

「問われている絵画(102)-絵画への接近22-」 薗部 雄作

「ゲーム化する世界」 深瀬 久敬

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