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第133号

2016年12月20日

【編集あとがき】

 

 浅田さんの論文=トランプ大統領の登場は、確かに、西欧近代文明の価値観を揺るがすような衝撃を伴うように感じます。日本は戦後、米国追従を国是として運営されてきましたから、今後の日本のあり方は、かなり根底から見直す必要に迫られているようにも感じます。英国のEU離脱にしろ、社会の根底には、中産階級の疲弊ということがあると思います。それは日本にもある程度、当てはまると思います。ポピリズムや極右思想の蔓延も、中産階級の衰退の影響が大きいように感じます。さらに、国家同志の力づくの競争になった場合、米中のはざまで、日本はどのような立ち位置をとっていくか、かなり難問ですが、真の独立自立にはよい機会と捉えることも可能と言われています。しかし、憲法改正論議もそうですが、今の日本に、西欧近代文明が作り上げたような価値観に匹敵する思想的基盤を持っているのか、かなり危ういものを感じます。

 

 薗部さんの論文=芸術家のあり方というのは、禅の修行をしている雲水に近いのでしょうか。理性を離れ、無の世界に自己を解放するようなイメージなのでしょうか。浄土真宗などでいう妙好人も、そういう存在のようです。芸術家は、作品を作り、それを見てもらったり、触ってもらったりする訳ですから、なおさらたいへんなことになるのだと思います。私たちの日常生活のなかに、非日常の宗教的な根源的な問いを呼び覚ましてくれるような具体的な物理的存在を提示する訳ですから、深い精神性が要求されることは間違いないと思います。今日の混沌とした社会のなかで、芸術の位置づけがどうなっているのか、改めて気になりました。宗教の位置づけとも関連するかもしれません。



「負けること勝つこと(89)」 浅田 和幸

「問われている絵画(124)-絵画への接近44-」 薗部 雄作

「宗教について改めて思う」 深瀬 久敬

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