浅田さんの論文=確かに、少子化の原因と今後の若年層の減少に伴う社会の在り方への影響は、きちんと検討されるべき課題だと思います。
インフラの整備や買い物難民や自然環境維持への対処、海外からの移民の受け入れ方、人工知能やIoTやロボットや自動運転などの新技術の活用法、中国資本による不動産などへの進出、年金や医療などの社会福祉制度と税制の在り方、産業競争力を維持するための産業構造や教育制度の構築、など課題は山積みの印象です。
人間社会の在り方を根本から見直すような対応が必要になってきているようにも思います。その一方で、グローバル化が急速に進む中で、日本の社会だけで解決できる問題ではないような印象も受けます。
一方、北朝鮮問題に端を発するのか、軍事費予算は増大傾向にあるようです。地球上の人類全体で智恵を絞るような体制を期待したいように思いますが、先日、韓国では人工知能による政治統治システムの開発が試みられているという報道に接しました。人間の問題解決能力の限界を突きつけられているようでもありました。なにかSF的世界に、人類は踏み込もうとしているのか、かなりなやましい感じです。
薗部さんの論文=今回のわたしの書いたものでも述べましたが、芸術は、歴史的に宗教や哲学と並んで「人間とはどのような存在なのか」という問いの探究の一翼を担ってきたと思います。テーマ性と造形性のジレンマというのは、人間存在そのものにも当てはまるもののようにも感じます。さらに近代西欧流の理性主義とか、理性を拒絶する禅の思想やシュールレアリスムの風潮など、かなりやっかいな問題のようです。存在が存在そのものの意味を問う人間存在そのものに、西洋も東洋もないと思いますから、それをどう表現するかには、かなりの自由度があってしかるべきだと感じます。
「個を深めてゆくことが重要」という点については、福沢諭吉の「一身独立して一国独立す」をふと思いだしましたが、最近、テレビ放送された「モーガン・フリーマン 時空を超えて 宇宙人はどのように思考するのか?」という番組のなかで、蟻のコロニーには、超個体という概念があり、一匹ずつの蟻は、私たちの脳の神経細胞のひとつひとつのような存在であって、全体としてひとつの知性を実現しているといった解説があり、興味深く思いました。
今日、宗教や芸術は、ややもすると社会運営の第一線から姿が薄れているようにも感じますが、今後、どのような位置づけを担っていくか、問われているようにも感じました。
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