ホーム ニュース 地球アーカイブ 地球とは? ご意見・ご感想 寄稿

第137号

2018年1月5日

【編集あとがき】

 

 浅田さんの論文=企業組織は、株主、経営者、従業員によって主に構成され、株主は配当金や企業価値を高めることを経営者に要請し、経営者は従業員を集め、株主の求める目標を適切に達成するための仕組みを作り、従業員にその中で適切に機能することを求めます。これらは全て契約に基づくものであり、その契約の内容や法令に違反する事態が発生した場合、従業員は警察などに告発することは理に適ったことといえそうです。東芝、神戸製鋼、日産、VW、等から様々な内部不正が告発などを通して明るみに出ていますが、複雑な思いです。

 組織のなかでは、セクハラ、パワハラ、異質へのいじめ、等があっても、共同体の論理のなかでうやむやにされることは多いと感じます。

 わたしは本号で、今日の社会運営では、科学の観点が基盤になっているとする一方、生きものとしての人間は、その意味論から切り離せられないことにも言及しました。所属する組織を、純粋な生活手段と割り切ることはかなり困難だと思います。働いている組織は、自己実現の場であり、生活共同体としての場でもあると思います。こうした科学の視点と生命としての意味論的存在を、どのように両立させていくのか、考えさせられました。確かに、相撲協会だけの問題ではないと思います。ただ、客観的な視点を高め、今後、組織としての建設的な透明性の高い議論をしていくためには、どうすればよいのか、といった点が明らかになるとよいと感じました。

 

 薗部さんの論文=果たして自分は、自分の時間を有効に使ってきただろうか、という問いに答えることは、なかなか難しいと思います。他の生きものを見ていると、遺伝子のようなあらかじめ組み込まれた仕組みのなかで、多少の状況の変化のなかを悠然と生きているように見えます。一方、人間は、世界を客観的に見るなどと言っては、どのような規則性があるのか見極めようとしたり、自分の生きている意味は何なのかと答えのない問いに紛れこんだりします。そういう時は、まだよい方で、ポテンシャルの上がらぬまま、無為に時間の流れに身を沈めることもあります。

 人間にとって時間の流れは、多様性のなかで実感できるものではないか、と感じます。いろいろなものが存在することを意識するなかで、時間の流れに気がつくことができるように思います。単調で同じものやことのくり返しのなかでは、時間は止まっているように感じそうです。そうした多様性を、人間は一方で削減したりします。多様性を活かし、それをどのように享受するか、人間の永遠の課題なのではないでしょうか。



「負けること勝つこと(93)」 浅田 和幸

「問われている絵画(128)-絵画への接近48-」 薗部 雄作

「科学の時代と今後」 深瀬 久敬

- もどる -

編集発行:人間地球社会倶楽部

Copyright © Chikyu All rights reserved.
論文募集