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第144号

2019年10月16日

【編集あとがき】

 

 浅田さんの論文=今の世界の情勢は、混沌とした感じでどのような方向に向かうのでしょうか。日本は少子高齢化、産業競争力や研究・教育力の右肩さがり、GAFAのような新興技術不足など、が心配ですし、日米地位協定のような正面から議論する気力も出ないような課題も存在しています。

 米中貿易摩擦の行方も懸念されますが、米国は自国ファーストに転換し、中国は一党独裁をますます強化する方向のようです。EUも英国の離脱気配や難民流入への拒絶感の高まりなどがあります。中東は、イラン、サウジアラビア、イスラエルといった国々の複雑な対立関係、そして、ロシアのプーチン政権はなにを理想や理念とする国なのかなど、今の世界の状況は私の理解をはるかに超えます。

 このような状況のなかで、科学技術はめざましいまでに進化し、無人ロボット兵器やサイバー攻撃は過激化しますし、韓国と北朝鮮は、確かに同じ民族でありながら一体化できないという歴史の捩れがいまだにほどけないままになっています。

 個人的には、こうした複雑な表面的対立がますます険しくなりつつあり、そして、私たち人類全体が置かれている状況もきびしくなっているなかでは、本号にも書きましたが、私たち人間とはどのような存在なのか、改めて智恵を絞ることが待ったなしになってきているように感じられてなりません。

 

 薗部さんの論文=三十年前とか五十年前というと、歴史的な観点からみればそれほど長い時が流れたとも思えないのですが、私たちの生きた時代を振り返ると、その変貌ぶりには驚きます。四五十年前ころは、なにか私たちが知らない世界が、この世の中にはたくさんあふれているように感じられ、映画などによって、そうした未知なものと遭遇するとなにか別世界に連れて行かれたような気持ちになりました。しかし、スマホがあふれ、ユーチューブであらゆるものが映像化されているような今日、実際に見るわけではありませんし、見る時間もない訳ですが、なにかいつでも見れるといったような安易な気持ちになり、新しいものへの新鮮な気持ちが損なわれているように感じたりもします。時代の流れに伴う社会や価値観の変化、個人の日常生活の在り方の変化、老化に伴う心身の衰え、などのなかで、私たちの次の世代の社会は、どのようになっていくのか気になります。しかし、私たちがどのように関われるのか、関わったとしてどのような影響を与えうるのか、謎ばかりが立ち上る感じです。


「負けること勝つこと(100)」 浅田 和幸

「問われている絵画(135)-絵画への接近55-」 薗部 雄作

「人間とはどのような存在なのか、と問うこと」 深瀬 久敬

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編集発行:人間地球社会倶楽部

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