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第146号

2020年4月4日

【編集あとがき】

 

 浅田さんの論文=安倍政権は、他の政権の選択肢が乏しいなか、マジック的な金融政策のようなもので、人気を維持し続けている感じがします。

 官僚組織も、定年延長による高齢化、官邸による人事権の発動のもとでの忖度、官僚組織の無びゅう性神話へのこだわりなどに起因しているのか、なにか硬直化し、機動性が欠落しているような印象を受けます。若い優秀な人たちにも官僚を敬遠する傾向があるようです。

 危機管理は大胆さを許容する開かれた機関が担うことが大切ではないかと感じます。組織の閉鎖的論理に埋没しているようでは、よいアイディアは出てこないと思います。

 これからの日本の社会は、たくさんの危機を乗り越えていく必要に直面していると思いますが、なにか正義に基づく民主主義そのものが劣化しつつあるみたいです。どうしたら思い切った組織改革が可能なのか、いまの日本は岐路に立たされているのではないでしょうか。

やや気が引けますが、安倍首相は、わたしが今回書いた文脈から言うと、個の確立という点で不充分なのではないかという印象を受けます。内閣をお友達関係の人から選んで構築したり、官僚組織への人事権でも自分好みの恣意的な発動をしているように感じます。ひとりの個として全体を客観した上での責任より、イエスマンに囲まれている方を好む傾向があるのではないでしょうか。生まれ育ちも関係しているのかもしれません。

 

 

薗部さんの論文=今回、わたしは個の確立について、自由や主体性から全体への責任について書いたのですが、個とはそもそもなにかという問いがはじめにあると思います。個というのは、個だけで存在することは決してありえない訳で、全体の存在が前提となりますから、全体のなかでの個の在り方、位置づけ、全体とのつながり、等についての理解が必然になると思います。そのとき、個の存在意義を尊厳をもって認めることができるとき、個としての安心があるのではないでしょうか。その尊厳のある意義を認めることには、美意識のような深い内面から生ずる個の間の共感が不可欠ではないかと感じます。なにか個というと、固い殻をつけ、閉鎖的な世界に引きこもるような側面もあるみたいですが、人間や生命の存在全体を捉えるときには、決してそういうことにはならないのではないかとも思います。


「負けること勝つこと(102)」 浅田 和幸

「問われている絵画(137)-絵画への接近57-」 薗部 雄作

「個の自由と責任について」 深瀬 久敬

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編集発行:人間地球社会倶楽部

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