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第147号

2020年7月28日

【編集あとがき】

 

 浅田さんの論文=今日、米国とどのような関係が望ましいのかは、むずかしい問題だと感じます。集団的自衛権によって、相手国が攻撃されたとき、援軍を派遣する義務をどのように負うかなど複雑だと思います。また、生産拠点、原油調達、食料調達などもグローバル化が深まり、それらに支障が生じたときにどう対応するべきかも複雑化しています。さらに、自然環境(温暖化、森林保護、海洋汚染、生物多様性維持など)、グローバル金融(デジタル通貨など)、観光と人の移動、GAFAのような世界企業の躍進など、国家の枠を超えた課題が一般化しています。その一方で、領土問題とか、産業上の機密情報の漏洩など、古くからの課題も顕在化しています。

 グローバル化の急速な浸透と複雑化に伴い、これからは、人間とはどのような存在なのか、世界の政治をリードする人たちが真剣に熟慮し、互いに協力しあわないと、人類のこれからはかなり危ういのではないかと感じます。最悪、このままでは、数年後に、人類は新型コロナウイルスによって絶滅させられているのではないかなどと感じたりすることもあります。

 

 薗部さんの論文=確かに、新型コロナウイルスによって、それまでの日常が消し去られてしまった感じです。いろいろなたのしみが三密回避のためになくなったり、働き方もかなり変わったようです。こうなってみると、それまでのあり方が適切であったのだろうかと疑問に感じたりすることもあります。

 一方、新型コロナウイルスの拡散を防止するために自粛するか、経済活動が停止したままでは収入が途絶する危機にどう対応するか、という二律背反の難題に直面しています。休業要請に応じた企業への支援金やオリンピックがきびしいとなればその資金面の負担をどうするかなど、財政面での課題も気がかりです。

 社会のリーダーは、こうした局面においては、ことばの力を大切にしてほしいと感じます。感染者数やCPR検査者数の公表も大切ですが、リーダーとして、どのような叡知を結集し、どのような対応を図っているのか、説得力をもって、分かりやすく説明することが社会全体の信頼関係を維持するためには大切だと感じています。官邸や官僚組織の人材のあり方が、今後、問われていくのではないでしょうか。

 


「負けること勝つこと(103)」 浅田 和幸

「問われている絵画(138)-絵画への接近58-」 薗部 雄作

「人間存在をより深く理解した政治へ」 深瀬 久敬

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編集発行:人間地球社会倶楽部

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