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第149号

2021年1月21日

【編集あとがき】

 

 浅田さんの論文=コロナ禍によって、インバウンドなどにより賑わっていた飲食店や観光業などは様変わりの様相になってしまいました。こうした影響を受け、生活の困窮に直面している人は、かなりの数にのぼるように感じます。

 そして、ご指摘のように、かつてと同じような賑わいは戻ってこないだろうと予想されるなかで、わたしたちの本当の実態があぶり出されているように思います。

 生産性の指標や科学論文数などにみるように、今の日本の社会はかなり危機的な状況に直面しているように感じます。

 わたしも本号に書きましたが、日本の社会の古い権威が社会の停滞を引き起こしているように感じます。抽象的な言い方になりますが、風通しがなく、オープン性が欠落していると思います。

 一人ひとりの希望の実現を、金銭にこだわらず、具体的に支援するような暖かな支援の仕組みはつくれないものか考えさせられます。

 確かに、今の自民党政権のあり方はひどいと思いますが、では野党に期待できるかというと、そういう印象でもありません。

 クラウド技術のようなものが急速に進化するなかで、なにか新しい光を見いだしたいとわたしも念じています。

 

 薗部さんの論文=わたしは本号で、近代社会は人間の世界を客観する能力によって作られたといったことを書きました。それは、人間と世界とが切り離されて存在するということを意味すると思います。それは科学という理解を通して、人間が生きていく上での様々な便利さや快適さをもたらしました。医療技術についても同じであり、今回、わたしは心筋梗塞のために開発された医療技術によって、九死に一生を得ることができました。

 しかし、芸術の世界というのは、客観する能力によって得られる世界とは別物であることは間違いないと思います。美意識や人間としての感動とはいったいどこから来るのかといったことが問われていると思います。

 クラウド技術や人工知能技術によって、ますます便利で快適な生活空間が実現されたとしても、人間は美意識や生きていることへの感動ということがない世界では幸福感を持つことはできないのだと思います。セザンヌの言う「気質」とは、そういう世界に対する言葉ではないかと思いました。

 科学や民主主義とは別次元の世界を権威として、人間の謙虚さを担保するような仕組みが必要なのかしれません。

 


「負けること勝つこと(105)」 浅田 和幸

「問われている絵画(140)-絵画への接近60-」 薗部 雄作

「DXを超えた地球世界へ」 深瀬 久敬

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編集発行:人間地球社会倶楽部

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