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第155号

2022年7月13日

【編集あとがき】

 

 浅田さんの論文=日本の社会が経済的衰退に陥り、若い人が安定した将来がみえないので家族をもつことや子育てに消極的だといった状況は、確かにそう感じます。

 最近の風潮として、中国のような強権主義の社会の方が、コロナ禍やワクチン開発への対応がすばやく、社会運営として優れているのではないかという声をよく耳にします。

 この点については、わたしの本文にも書きましたが、現代の社会を支えている科学は、一人ひとりが自分の頭で考え自由な言論によってもたらされたという根幹を無視していると思います。言論の自由もない中国の社会が、健全な科学を今後も探究し続けていくことは不可能だと思います。

 そして、今の日本社会が衰退しているのは、一人ひとりの人間が自分の頭で自由に考えることを阻害する同調圧力などの社会的抑圧があるためではないかと感じます。

 また、アメリカやフランスの社会が、全体主義的政治家になびくのは、社会の安定性が大きく棄損されているためではないかと思います。なぜ、個人が危機的なほどの不安定な状況に追い込まれてしまうのか、客観的に冷静に分析してみることが大切だと感じます。

 それから選挙によって選ばれる民主的な政権であっても、様々な規制を強いて国家統制を強めることは、時代の流れに逆行するものだと感じます。

 

 薗部さんの論文=存在するものは秩序をもっているのであり、秩序をもたないものは存在できないのではないかと感じます。その存在を支えている秩序とはどのようなものなのか理解できたとき、人間はその存在を受け入れます。一方、私たち人間には理解を超える闇と向き合うことはよくあります。なぜ、人間はそんな残虐なことを平気でするのかというのも闇です。わたしの本文にも書いたのですが、そうした闇に蓋をしてはいけないと思います。それに正面から向き合い、なぜそうなっているのかいろいろ疑問を投げかけるのが人間存在の意義ではないかと思います。闇は美のときもあれば醜のときもあります。権威主義はその権威を維持するために闇を排除します。闇と向き合うのは、基本は一人ひとりの独立した頭脳だと思います。サイバー空間にも広がった人間の意識世界は、闇の世界とも積極的に向き合い、人間や生命の存在の意味や価値への問いを深めていければよいと思います。

 


「負けること勝つこと(111)」 浅田 和幸

「問われている絵画(146)-絵画への接近66-」 薗部 雄作

「自然と人間」 深瀬 久敬

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編集発行:人間地球社会倶楽部

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