浅田さんの論文=中国の状況は、物質的豊さにおいて、ようよく一般市民にも行きわたりはじめたような段階ではないかと感じます。海外への留学生や旅行者の比率が上がるのにつれ、共産党一党独裁の情報や言論の自由を抑圧した統治がいつまで続くのか予断は許さないと思います。そうだからこそ、習近平体制は、ますます内外両面での統治圧力を強め権力基盤の強化を目指していっているように感じます。中国人のしたたかさに期待する考えもあるようですが、少し違うように感じます。北朝鮮は、どうしようもないほどダークだと思います。金正恩体制が崩壊し韓国と一緒になることを期待したいと思います。
格差の問題の解消に関しては、社会主義経済のようなアプローチを採用することには、わたしはかなり懐疑的です。デジタル技術などの科学技術の発展が目ざましいなか、人間の自由とはなにかとか、人間の多様性の本質とはなにかといった、人間観の本質に迫るような新たなアプローチが必要になっているように感じます。
薗部さんの論文=コラージュは多様な無意味な断片(本来は特定の意味をもった集合体であった?)が無秩序に集められることによって制作されるものだと思いますが、そこに秩序や安定は存在するのかという問いは、多様な人間が一人ひとり勝手に自分の存在の意味を模索する様となにか共通するような気持ちにもなります。トップダウンに秩序が固定化されるとそれは本質的に崩壊に向かうのかとか、ばらばらのままで全体としての意志は存在しうるのかなど、いろいろな疑問が湧いてきます。無限の広がりをもつ開かれた空間の中で、そうした多様な広がりは、なんらかの秩序を維持しながら存続し続けるというのが、この宇宙の存在原理なのかもしれないなどと妄想したくもなりますが、はっきりとはわかりません。
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