浅田さんの論文=今の日本の社会は、GDP、一人あたりの生産性、出生率など、様々な指標で、低迷を続け、巨額の赤字国債も抱え、やや極端に言えば、国家存亡の危機にたたされていると言えるのかもしれません。
政府のいう通りにやってきたのにこんな結果しか得られなかったというのは、政府のやり方が悪かったからであり、その政府の仕組みを変えなければならないという論理は、当然のようにも聞こえます。どのように変えるのかは、よく分かりませんが、国民一人ひとりになにを期待するのか明らかにする必要があると思います。
一方、わたしは、今の日本の低迷は、一人ひとりの個の力の発揮が、根強くはびこっているタテ社会的権威主義によって阻害されていることが大きいように感じています。すなわち、個の尊厳や自律性や学問の客観性の徹底といった真の民主主義に向けての対応策を強力に進めることが必要なのではないかと感じています。
薗部さんの論文=全体と部分との関係というのは、興味深く感じます。生命を形作る細胞は、全ての細胞が生命全体を形成するための遺伝子情報をもちながら、その細胞が形成する臓器や骨格を形成するために必要な一部の遺伝情報のみを使いタンパク質を作り出すようです。すなわち、部分は常に全体のことに注意を払いながら存在していると言えるようにも思います。民主主義の社会における個々人の自律性ということにも関連するかもしれません。人間の存在そのものも、相対性理論と量子論をつなぐ大統一理論、ダークマターの正体、量子コンピュータの活用などを通して、いろいろな理解が深まる可能性があり、今後どのような発見があるのかたのしみです。
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