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第159号

2023年8月5日

「問われている絵画(150)-絵画への接近70-」 薗部 雄作

 

 

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ヒト イボ・ウイルス(電子顕微鏡写真)とその模式図

 

 

 さらに詳細に検討してみれば、といって「われわれの六十兆の細胞も、われわれの体内に閉じ込められているが、実は巣の外の散乱している数千のミツバチやシロアリと同じくらい散らばっているのである」そして「そして、その各細胞の距離は、その大きさに、もしくはその真髄を組成している電子の大きさに比例する」そして「その距離は宇宙における天体間の距離とかわらないくらい大きい」「無限小は無限大に匹敵するのだ」と。そして「ホイラーが正しく指摘してるように」「人間の身体を、電子同志が接触するほどに圧縮することができれば、人体は数ミリメートル立方を超えない容積となるだろう。この圧縮あるいは濃縮は不可能ではない。なぜなら、自然は<白色ワイ星>と呼ばれる星、とくにシリウス星のあの神秘的な衛星においての圧縮を実現した」と。こうして、先ほどの細胞のたとえが当たっているなら、次のような事実も容易に説明できるだろう」という。「たとえば、いくつもの巣が連合した巨大なコロニーにおいても、ハタラキアリは驚くべき正確さをもって、巣に必要な産卵雌の数を知る。あるいは感じるという理由がきわめて容易に説明できる」と。そして、我々が渇きや空腹感をもつとき、われわれの細胞連合には一つの類似した現象が起き」て「集合的な空腹感や渇きが支配する」「そして「われわれすべての細胞はそれを感じ、外界に働きかける細胞に命じて、全体的飢渇をいやすのに必要な手段を講じさせる」そして「これらの細胞が満足すると、ふたたび命令がくだされて、その作業を中止させる」と。

 

 そして「この対比には少しの無理もない。われわれは一個の集団的存在、社会的細胞のコロニーにすぎない」しかし「われわれの存在の基礎である有機的生活の複雑きわまりない活動を、いったい誰が命令し、統括し整え、調和するのか、われわれはまったく知らない」と。そして「有機的生活ほど、存在の根本であり、意識的、知的生活のごときは、後になってつけ加えられた、とるにたりないつかの間の現象にすぎない」という。

 たしかに、自分で考えてみても、不思議に思えることは多い。わたしたちを形成し、その存在を維持している肉体は、意識とはちがうもののように感じられる。有機体が疲労や飢えを感じるのが、まず先で、それを有機体が、知覚や意識に連絡するのだろうか。それを意識がキャッチして、それをみたすべく、手段をこうじる。というように思える。「しかし、われわれの有機的存在の複雑きわまりない活動を、いったい誰が命令し、統括し、整え、調和するのか、われわれは、まったく知らない」そして「有機的生活こそ、存在の根本であり、意識的、知的生活のごときは、あとになってつけ加えられた、とるにたりない束の間の現象にすぎない」「われわれは、われわれの眼に一見明白に思われるような、われわれ自身の秘密を見ようともせず、理解してもいない」。「それなのに、どうしてわれわれが、社会的昆虫のコロニーに潜む類似の大秘密を見抜くことができるだろうか」と。

 

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インフルエンザ・ウイルスとミクソ・ウイルス(電子顕微鏡写真)とその模式図

 

 

 

「負けること勝つこと(115)」 浅田 和幸
「地球社会のこれから」 深瀬 久敬
【編集あとがき】
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編集発行:人間地球社会倶楽部

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